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ソウエニグマ|SOW ENIGM@ 写真家 山下 透 INTERVIEW


写真家 山下 透

1996年生まれ 兵庫県出身

何気ない一瞬の日常や何気ない一瞬の違和感などに独特の感性から焦点をあて、日々シャッターを切り続けている若き写真家。

2017年2月に自身初の個展「route」を2日間に渡って開催、翌年2018年3月に共同展「eye」を開催する。

兵庫県を中心に活動する新進気鋭のDJ、SULLEN(CERF VILLE/Cracks Amp)との共同プロジェクトによって制作された「No/fiction&Riverie trip」なども展開し、写真提供、CDジャケット、アーティスト写真などの撮影も行なっている。

-先ずは自己紹介をお願いします。

山下透、兵庫県加古川市在住の現在23歳です。

-主に撮影で使用される機材は?

主に撮影で使用しているカメラは今はcontax のT2です。MINOLTAの303siも長い間使用していたんですけど最近壊れちゃって...

それを機にずっと欲しかったT2を購入したって感じです。

デジタルカメラはpentaxのKS2を使用しています。

イベントの撮影とかとなるとやっぱりdigitalをメインにして撮っていますが、基本的にはfilmが主流かなって感じです。

-デジタルが主流の現代だと思いますが、その中filmを主流にされるのは何か拘りがあるのでしょうか?

簡単ではありますが好みです。

僕自身も入口はデジタルでしたけど、フィルムカメラで撮り始めるとこっちの方がしっくりきたと言いますか。

フィルムにはスリルとリスクがありますが、そこが良い点でもあると考えています。

ただ、現代ではデジタルが主流というのも十二分に理解はしていますし、

どちらか片方だけといった頑固な考え方は良くないと思っています。

実際、自分自身もフィルムだけで撮りたいと考えた時期もありましたけど、その思考は時代に合っていないという結論に至ました。

写真を編集したり、合成したり、複製したりというように変換させていくには、デジタルの方がやはり処理がしやすいという現実もありますし。

なので、どちらか片方と限定し選択肢を狭めるのではなく双方のメリットデメリットを双方で補っていければと考えてます。

-なるほど。撮りたい被写体に対して、双方の長所を生かしていくとゆう感じでしょうか?

そうですね。フィルムにはないデジタルの良さ、逆にデジタルにはないフィルムの良さももちろん存在します。

その媒体を理解し、良さを抽出することで幅広い選択肢が生まれると思っています。

両方使える事に越したことはないって感 じですね。

-ありがとうございます。

-写真を撮り始めたキッカケは?

写真を撮り始めたキッカケは完全にショーンヴェゲッチの影響です。

アメリカのphotographerでstudiovoiceの復刊第1号目が「Youth of today」っていうタイトルの号があるんですけど、それにショーンヴェゲッチの写真とインタビューが掲載されていて。

それを目にした時に、写真も勿論文句なしにカッコよかったんですが、どちらかといえば、インタビューの方に心を動かされました。

ポスト・ライアンマッギンレーとメディアが注目する程の実力だったんですけど、そこからの彼の動きとスタイルがとりあえずカッコよかったです。

写真家としても人間としても最大の敬意を払っている人物の1人です。

-好きな写真家や影響を受けた写真家はいますか? またそれらの写真家がどのような影響を与えましたか?

やはり一番は全てのキッカケになったショーンヴェゲッジですね。

彼の記事を見ていなければ、写真を始めていたかもわからないですし。彼には写真だけじゃなく、人としてどうあるべきかを教わりました。

なりたくない自分になる事が一番の恐怖という彼の言葉は強烈に印象に残っています。

そして、彼とほぼ同時期にアメリカの写真界を牽引していたライアンマッギンレー、そしてそのアシスタントを務めていた

チャドムーアの写真も色彩や画角に共通点がある様に思えて好きですね。

彼等以外で言うと、スナップの美学を築いたと言われているロバートフランク、同時期で言うとゲイリーウィノグランド、思い起こすとアメリカ人の写真家が多い気がします。

他だと、ウォルフガングティルマンス、リナシェイニウス、オラリンダル、ジェフウォール、スティーブンギル、AdaHamza、sarah hermans、Dinalunも好きです。

あと最近注目しているのは、フランスを拠点に活動しているwhigelightcollective、サンフランシスコ拠点のGroupStudy、そしてカナダのモントリオールを拠点に活動しているok cool editions、彼らの写真は日常的に見ています。

ただ、それらが自分の撮影する写真に直接的に影響を受ける事は少ない様に思えます。どちらかというと、自分では考えもつかない手法でのアプローチであったり、社会的背景を伴った思想、もしくは懐疑的思想など、主に考え方や捉え方の幅広さを勉強させてもらっているという感覚です。

エナジードリンクや血液で現像をしてみたり、中国のミッキーマウスに似たカメラで撮影をしてみたり、タブーとされてる

自分の手の写り込みを意図的にしてみたり、ストーカーをしてみたり、鞄の中を盗撮してみたり…

例を挙げるとキリがありませんが、どれも自分にはない考え方や捉え方です。

ただ、どのアプローチにもその写真家の性格や意図は確実にある様に思えます。

以前、スティーブンショアが「問い」をたてる事の重要性を何かの記事で明言しさていました。

その「問い」に対しての一種の答えをそれぞれの写真家が写真を通して表現しています。

その問いや意図等がとても重要で、気になる点でもありますし、尊敬する点でもありますね。

ビジュアルとしての写真ももちろん重要ですが、その写真に巧みに隠された問題提起を理解し、

自らが考える事が何よりも重要であると様々な写真を通して教えてもらいました。

そういった意味でも、様々な要素を含めると、好きな写真家や影響を受けた写真家は数多く存在します。

-普段の撮影で何かイメージされてる事とかはありますか?

普段写真を撮る時は何かを撮ろうと思って撮る事は少ないです。正直、言葉では説明しずらい部分ではありますが、何か自分の中で感じるものがあればシャッターを切るという感じですね。

なので、前もってイメージはしていないと思います。

ただ、他者と作品を制作したり、提供させて頂く場合はコンセプトを大切にするようにはしています。

例えば、音楽をしてる人に写真を提供させて頂く場合、その曲やアルバムのタイトルやコンセプトに沿った写真をイメージし、そのイメージに近い写真を提供できるようにとは考えています。

-活動の中で思い出深い出来事は?

いっぱいありますが、1人で神戸の街を歩きながら写真を撮ってた時に、外国人2人組に急接近して撮ったら、思いっきり水をぶっかけられちゃったっていうのは思い出ですね。

唾とかも吐かれちゃってかなり状況的には最悪でした。何言ってるのかはわかりませんでしたけど多分結構怒ってましたね。しかも、その後用事があったのでかなりヤバかったですけど、カメラだけは守れたので、そこだけは良かったです笑

-中々ハードな撮影トラブルですね。笑 山下さんの一瞬にかける思いが伝わりますね。

あとは、作品作りに関して言うとDJ SULLENとの共同プロジェクトで作品を作れた事は思い出深いです。

写真と音楽の一体をコンセプトにした作品で、彼の事は昔から知っているのでスムーズに作業が進んだ点も良かったですし、

しっかりとコンセプトに沿って進める事ができたので、納得のいくものになったと思っています。

-写真活動で表現していきたい事をお聞かせください。

写真活動を通して表現していきたいことは、正直まだ明確には見つかっていません。

ただ、誰もが携帯片手に写真を撮れる時代ではあるので、写真に意味を持たせる必要性は日々感じています。

ジェフウォールやニックナイト、スティーブンギルやヴォルフガングティルマンス、マグナムで言うと、1990年代のマーティンパー、2000年初期のアレックソスなどの考え方で、「現代写真アート言論」での言葉を借りて言わせて頂くと、写真はテイクやシュートする時代ではなくメイクする時代に突入しているので、より技術的な表現も視野に入れていかなければならないのかなと感じています。

このような手法で表現していくとはまだ明言できませんが、先人達の教えをもとに今後を考察していくことが課題です。

-今回のコラボアイテム 山下透×ENiGM@ CHINO PANTS は19ssのテーマ Darrly’s Life のイメージに沿った 作品が抜粋されたとお聞きしました。

イメージされたことをお聞かせください。

今回、宗さんからお話を頂いた時、コンセプトが深く繊細であり、イメージ材料としてはかなりの情報が密集していて、イメージしやすいなと率直に感じました。

そのコンセプト、具体的にはダリルのライフスタイルにより近いイメージを自分のアーカイブの作品の中から抜粋し、提供させて頂いたという流れになります。

アンリアルな人物像をイメージすることは難しい点でもありましたが、上記にも述べたようにコンセプトがしっかりとされていたので、イメージしやすく、作品からの抜粋という作業もスムーズに行えたと感じています。

-最後に透さんが次に取り組まれているプロジェクトについて教えて下さい。

現在取り組んでいるプロジェクトは、写真活動で表現していきたいことの問いでの答えと少し重複してしまいますが、まだ明確には見つかっていません。

しかし、ここ数ヶ月の間写真を撮るという行為より、写真を観る行為の方に意識的に時間を割いてきました。

その期間のおかげもあり、様々な写真や文章を目にし、自分なりで微力ではありますが写真に対しての考え方が一つ階段を登れたように感じています。

具体的な数字は言えませんが、大学を卒業するまでの約1年半という期間の間に、紙離れが問題になってはいますが、紙媒体としての作品を創り上げる為に今は活動しています。その作品のコンセプトやメッセージも徐々にふるいにかけて絞りこんでいる状況です。現在進行形のプロジェクトはこんな感じですね。

山下 透×ENiGM@ CHINO PANTS

model : DHRMA 【172cm L着用】


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